就業規則を確認しよう
知ってる?労働豆知識~vol.3

  4月の新学期がはじまり、新たに再就職をした方、また今から再就職をしようという方も多いのではないかと思います。そこで知っておきたい働くための知識として、今週と来週は「知ってる?労働豆知識」の第3弾をお届け。今回は「就業規則」についてです。

就業規則とは?

  みなさんが就職活動をし、無事に内定をもらった後、雇用主と交わすのが「雇用契約」です。就業時間や休み・給与などは、募集の段階で求人広告等で知っているかもしれませんが、入社した時に「労働契約書」を交わしたり、「労働(雇用)通知書」を受け取る事で、労働条件について再確認することができます。一般的に雇用契約書や労働(雇用)通知書には、労働する期間・時間・曜日、就業の場所、賃金の額や支払い方法、退職や昇給に関する事項など、重要な事項が書かれているので、この時点でしっかりと労働条件について確認することが必要です。
  しかしそういった重要事項以外でも、使用者(雇用主)と労働者の間で決めておきたい事はたくさんあります。たとえば「産休はあるか?」「家族が病気やケガで入院した時長期で休めるか?」「セクハラがあった場合、会社としてどう対応してくれるのか?」「お昼休みは外出していいか?」など、直接的に仕事に関係なくても、使用者と労働者の間で合意しておきたい事はたくさん出てきます。
  そこで登場するのが「就業規則」です。就業規則を作り、労働環境に関する細かいルールを決めておくことで、労働者はより安心して仕事ができるようになり、使用者も職場のトラブルを未然に防ぐことができるのです。

■Point

  ●就業規則には、労働契約書にはない細かいルールが決められています。
  ●就業規則は労働者・使用者の両方を守る大切なものです。

就業規則ってどこでもある?

  「私、働いてるけど、就業規則なんて見たことない。」という方もいるかもしれません。法律上、就業規則は「常時10人以上の労働者を使用する」事業所については、作成及び届け出が義務となっています(労働基準法第89条)。違反した場合は30万円以下の罰金という罰則もついています。ですので、アルバイトやパートも含めた社員が常に10人以上いる事業所にお勤めの方は、ぜひ就業規則の有無については確認していただきたいと思います。また10人以上が「義務」であって、10人未満の事業所でも就業規則を作り、届け出する事は可能です。小さな会社であっても就業規則があれば、労働環境について真剣に考えている会社と考えることもできますね。
  さらに就業規則には「周知義務」が課せられています(労働基準法第106条)。使用者は就業規則を労働場所の見やすい場所に掲示などで備えつけたり、労働者に書面で渡すなど周知しなければならない義務もあります。

■Point

  ●就業規則が職場にあるか・ないかを知っておこう。
  ●就業規則があった場合は、それがいつでも見られる状態であるか確認しよう。

就業規則にはどんなことが書いてあるの?

  就業規則は「職場のルール」です。したがって職場によって内容はさまざま。しかし適当に作るわけにもいきませんので、厚生労働省では「モデル就業規則」というものを配布しています。この「モデル就業規則」では、記載事項が以下のように構成されています。

【A:絶対的必要記載事項】
①労働時間関係

始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

②賃金関係

賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

③退職関係

退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

【B:相対的必要記載事項】
①退職手当関係

適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

②臨時の賃金・最低賃金額関係

臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項

③費用負担関係

労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項

④安全衛生関係

安全及び衛生に関する事項

⑤職業訓練関係

職業訓練に関する事項

⑥災害補償・業務外の傷病扶助関係

災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑦表彰・制裁関係

表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項

⑧その他

事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

  ご覧のように、必ず記載しないといけない「【A】絶対的必要記載事項」と、そうではない「【B】相対的必要記載事項」の2つがあります。安全衛生に関する事や、表彰・制裁などについては、就職前にはなかなか知ることのできない事項ですので、勤務を開始する前にしっかりと押さえておきたいですね。

■Point

  ●相対的必要記載事項は事業所によっては記載されない項目もあります。
  ●普段知らない事も多いので、なるべく早い段階で内容を知っておきましょう。

就業規則に書いてあれば何でも有効?

  前述のように、就業規則では職場のルールを細かく決める事ができますが、そのとらえ方として2つ注意点があります。  1つは例え就業規則に記載されていたとしても、それが「労働基準法」などの労働法規に違反していた場合は無効となります。たとえば就業規則の給与の項目に「時給780円」と記載されていても、福岡県の最低賃金は「時給789円」(2018年5月現在)なので、就業規則のこの項目は無効となります。
  就業規則は「届出制」ということもあり、すべての項目を労働局がチェックして改善を促すような性質のものではありません(もちろん必要に応じて指導が入りますが)。さらに最低賃金のように時期によって法律と就業規則に誤差が生じる場合もあります。そういった事から、異なった場合には法律が優先されるという事になっています。
  ではもう1つ。就業規則と雇用契約書で矛盾する内容があった場合はどうでしょうか。原則的には「就業規則」が優先となります。就業規則は「職場全体で包括的に定めたルール」ですが、雇用契約は「使用者と労働者の個別のルール」です。そう考えると「個別の特別ルール」が優先されるべきだと思いがちですが、個別ルールを適用するにしても、「就業規則の範囲内」であることが原則です。「職場全体での初任給は20万円だけど、あなたは特別に15万円です」としてしまうと、就業規則自体が意味のないものになってしまいます。
(ただし「原則的に」と書いたのは「労働者の自由意志による同意があれば、就業規則の内容を下回った場合でも労働契約書が有効」とされる場合もあるようです。)

  さて、これらをまとめると、ルールとしての優先順位は、

労働法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

  となります。
  ちなみに「労働協約」とは、労働者と使用者の間での協約で、例えば残業などについて労使で協約を結ぶ「三六協定」などがこれにあたります。就業規則上「残業有り」と書いていても、「三六協定」がなかった場合には、会社は法定時間外で残業させることはできません。

■Point

  ●守るべきルールには優先順位があります。
  ●最終的には「法律違反」にならないようにしなければなりません。

就業規則はみんなで作ろう

  就業規則は、労働者と使用者での決めごとですので、必ずしも使用者側が一方的に決めるというものではありません。特に昨今はパワハラやセクハラ、介護休業など、世間が会社に求める要求というのも変わってきています。こうした時勢に合わせて就業規則も変えていく必要があります。そのためには、労働者のほうからも意見を出し、雇う側も雇われる側も気持ちよく仕事ができるような環境を作っていくことが必要ですね。

「主婦のための就職マニュアル」一覧へ
このページのトップへ