荻清隆 心の相談室

西日本心理療法センター 荻清隆(おぎ きよたか)

【住所】〒815-0036 福岡市南区筑紫丘1丁目12-1-519
【問合】TEL/092-561-4711 携帯/080-5249-8554

  • 1930年/久留米生まれ。
  • 1973年/西日本心理療法センターを開設。催眠・内観・交流分析・ゲシュタルトなどの心理療法により、1500以上もの臨床を手掛けている。
  • 1975年/同センター内にオギNT研究所を併設。独自の心理療法を開発する一方、多くの企業での企業内教育や市民講座や講演活動なども行っている。
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荻先生の診療日誌

【著者】荻清隆 【頁数】178P 【体裁】B6版
1991年1月~1995年7月まで、「GANSO求人ふくおか」に連載された「荻先生のメンタルヘルス」を再編集した「荻先生の診療日記」を販売しています。 便箋に、住所・氏名・年齢・性別・連絡先を記入の上、1,000円分の切手を同封し下記住所までお送りください。お申し込み郵便到着後数日中に発送致します。

〒810-0023
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パインヒル警固3階
(株)アビリティ・キュー内
「荻先生の診療日記」購入希望 係

あなたも変われる再決断療法

人の性格や運命は、その人が子供の頃の生活環境の中で、「どう生きていくかを決めた心」が大きく影響しています。これを「幼児期の決断」と言いますが、この決断がその人の「人生脚本」の基礎になります。そして、その決断をするのが、誰もが生まれた時から持っている心の中にある「小さな教授=小教授」と呼ばれる心の部分です。この小教授は愛情を得るために、また、生きていくために直感力を働かせて、その環境に適応するように自分を変えようとします。しかし幼いがため、経験も知恵もなく、往々に間違った判断をしてしまうことがあります。

特に、親や養育者によって与えられる間違った価値観や禁止の言葉は、大きな影響を与えます。例えば、「命懸けで働け!遊ぶな!」と仕事が命だと思っている親から常々言われて育つと、大人になり生活に余裕が出来たとしても、遊べない、寛ぐことが出来ないで、燃え尽き症候群になることもあります。

この間違った判断による決断がその人の人生を歪ませてしまうのです。[再決断療法]とは、この間違った「判断=決断」を正しくする方法です。次に例を挙げて話を進めましょう。

ある日、60半ばの男性Aさんが相談に来られました。彼は仕事を辞めて2ヶ月ほど経っていますが、毎朝眼が覚めると頭痛がして、いてもたってもいられなくなるそうです。病院で薬をもらい飲んではいますが全く良くならないので、催眠をかけて治してくださいとのことでした。

Aさんは現在、妻と二人暮しで、二人の娘は結婚して孫もいます。仕事は充分に蓄えも出来たので辞めました。ところがAさんは、若い頃から働くばかりで、遊んだことが全くありません。毎日の晩酌が唯一の楽しみでした。

Aさんが子供の頃、両親は農業をしていて、常々、父親から「一生懸命働け!遊んでいては生きていけないぞ!」と言われ、学校から帰るとランドセルを玄関に放りだしてすぐに畑仕事の手伝いをしていました。収穫期になって、作物が良く育っていると、父はAさんを抱きしめて「お前はよう頑張ってくれたのう。偉いぞ!」と誉めてくれました。Aさんは、父親が喜ぶ顔を見るたびに、もっと働いて父親を喜ばそうと決心したそうです。

このように、父親を喜ばせ、認めて欲しいと望んでいる小さな男の子は、自分の心の中の「小教授」の部分から、父親を喜ばせる為に「仕事を一生懸命にやろう」と決断したのです。

そんなAさん、お金も貯まり余裕も出来た60半ば、仕事を辞めて人生を楽しもうとゴルフを始めました。ところが、朝からずっと頭痛が止まらないのでゴルフを辞めてしまいました。そして次に手掛けたのが家の中の改造でした。

初めの頃は奥さんも喜んで、ここに棚を作ってください、雨戸を修理してなどと重宝がっていましたが、まだ間に合っているところまで壊しては作り変えるようになって、とうとう「もう余計なことはしないで!大工仕事は辞めて!」と夫婦ケンカがおきてしまいました。このことから、私はAさんの心の中の「小教授」を変えなければ、彼の頭痛は治らないと考えました。以下はカウンセリングの様子です。

私 Aさん、あなたはどんな自分になりたいですか?

A もっと人生を楽しみたいです。

私 「楽しみたい」という言い方は、単なる希望を言ってるようなので、「私はもっと人生を楽しみます」と言ってください。このように言うと、心の中に「決断した!」という気持ちがしてきますよ。

*ここでAさんの前に椅子を置いて、父親が座っていると想像してもらう。

私 あなたは今、子供の頃に戻って、父親があなたに向かって「一生懸命働け!遊んでいては生きていけないぞ!」と言っているところを思い出してください。そして父親に向かって「もうお父さんが何と言おうと、ぼくは絶対に人生を楽しむことに決めた。仕事はもうしないぞ!」と言ってください。

A 「お父さん、ぼくは今日から絶対に人生を楽しむことに決めた」……

×ここまで言った途端、Aさんは父親から頭を殴られているかのように緊張して、頭を左右に震わせました。そこで私は彼にもう一度同じ事を違った言い方で言うように指示しました。Aさんは、顔の筋肉を引きつらせながら言いました。今度は、Aさんに前の椅子に座って、父親になって、父親がこんな反応をするだろうと想像することを言うように指示しました。

A (前に置いてある父親の椅子に座って、父親として)
「親に向かってそんな口答えをしてはならん。さっさと仕事を始めろ!」

×またAさんに元の椅子に戻ってもらい、更に前席の父親に向かって「自分はもう充分働いてきた。これから先、遊んでも悠々と暮らせるから、仕事を辞めてゴルフを楽しむぞ!もう俺は大人だ!お父さんには俺を痛い目に合わせることは出来ない!お父さんは、自分が遊びたいときに、何で一度も遊ばせてはくれなかったか?」と質問しました。

×(Aさんが父親の席に座って、父親から) 「俺たちは食わねばならん!生きていく為には、遊んでいる暇などまったくないのだ!人手が足りないから、お前が手伝ってくれなかったら家族皆が生きていけない!」

×Aさんが自分の席に戻って、「それは昔の事だ。だが今はそうじゃない。生活に余裕もあるし、これからは朝もゆっくりとご飯を食べ、自家用車を運転してゴルフ場に行ってプレーを楽しめる。また家族皆なで旅行も楽しめる!」

この後、Aさんを催眠に導入して、ゴルフや家族旅行を楽しんでいる様子をイメージしてもらいました。初めの頃は頭痛がありましたが、回を重ねるごとに頭痛がすっかり取れて、今ではお父さんも一緒にゴルフをしたり、旅行に行ったりしているイメージを描くと、お父さんが笑顔で「お前はよく頑張ったのう!これからは楽に暮らせよ」と言ってくれるので嬉しいと、言われてました。

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