荻清隆 心の相談室

西日本心理療法センター 荻清隆(おぎ きよたか)

【住所】〒815-0036 福岡市南区筑紫丘1丁目12-1-519
【問合】TEL/092-561-4711 携帯/080-5249-8554
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  • 1930年/久留米生まれ。
  • 1973年/西日本心理療法センターを開設。催眠・内観・交流分析・ゲシュタルトなどの心理療法により、1500以上もの臨床を手掛けている。
  • 1975年/同センター内にオギNT研究所を併設。独自の心理療法を開発する一方、多くの企業での企業内教育や市民講座や講演活動なども行っている。
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荻先生の診療日誌

【著者】荻清隆 【頁数】178P 【体裁】B6版
1991年1月~1995年7月まで、「GANSO求人ふくおか」に連載された「荻先生のメンタルヘルス」を再編集した「荻先生の診療日記」を販売しています。 便箋に、住所・氏名・年齢・性別・連絡先を記入の上、1,000円分の切手を同封し下記住所までお送りください。お申し込み郵便到着後数日中に発送致します。

〒810-0023
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パインヒル警固3階
(株)アビリティ・キュー内
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神経症への効果

あけましておめでとうございます。

本年も読者の皆様がより一層お幸せになられますよう頑張ります。ご質問やこんな事を書いて欲しい等、ご希望がありましたらどしどしお寄せください。

さて、前回までは催眠に入る方法を書いてまいりましたが、これからは催眠が医学においてどのように使われ効果を上げているかをお話ししてまいりましょう。

【神経症への効果】

1. 不安状態=不安神経症.パニック障害など激しい不安や死の恐怖とともに心悸亢進(しんきこうしん)、呼吸困難や手足のしびれや冷や汗など自律神経が異常になります。

2. ヒステリー状態=心の中で葛藤が起きると、それが身体に現れて、聴力や感覚などに障害が起きたり、手足がけいれんしたりします。

3. 心気状態=自分の身体の状態を異常に気にして、ちょっとした事でもあれこれ心配して気に病みます。

4. 強迫状態=自分の意思に反してある観念が自分を押さえつけて、自由に動けなくなる状態です。

5. 抑うつ状態=心的要因で無気力で、自己嫌悪や自殺観念にとらわれたりします。

催眠療法は上記の神経症の治療に特に効果があると言われています。次に具体例を挙げてみましょう。

ある日A子さんという28才の女性が訪ねて来られました。彼女はある病院でパニック障害と診断され、3年間入院をして薬物療法の治療を受けましたが、いっこうに改善できず、知人の紹介で私のところへ来られました。彼女の症状は、自分自身やあるいは誰かがテーブルクロスやシーツなどを取り替えると、急に精神状態が不安定になります。動悸が激しくなり場合によっては失神して倒れてしまうのです。病院では強い精神安定剤と抗不安剤を投与されていたそうです。以下は彼女とのカウンセリングの様子です。

私 あなたの症状はいつ頃から始まりましたか?

A  はっきりと覚えていませんが小学5年生の頃からだと思います。

私 発作が起きたきっかけは何だったのですか?

A  小学5年生の頃、学校の体育館で床にマットを敷いて、前方回転の練習をしていた時のことです。あるいじめられっ子が前方回転をした途端、誰かがそのマットを急に引き剥がしたので、その子がひっくり返り頭を強打して、気を失ったまま顔に真っ赤な血がダラダラ流れていました。それを見た瞬間、私は急に動悸がして、もの凄く気分が悪くなって気を失ってしまいました。それ以来、マットのような物やシーツのようなものを見ると精神が不安定になってパニック状態になります。

私 あなたは過去に同じような体験をしませんでしたか?

A  いいえ、思いつかないです。

私 それではあなたを催眠に導入して、何が問題になっているか調べたいと思います。催眠は怖い事は全く無く安全ですから、私の言葉に注意して聞いていてください。もし雑念が湧いてきたら、そのままほっといて私の言葉に注意してください。あなたは小学生の頃、算数は得意でしたか?

A いいえ、算数の問題を考えていると、頭がボーッとしてきます。

私 はい、分かりました。何か質問は有りませんか?

A  いいえ、ありません。

私 それでは催眠に入っていきましょう。あなたが小学5年生の頃、教室で算数の問題が書かれている黒板を見ているようすを想像してくださいね。しばらくすると次第に頭がボーッとしてきます。そして眠くなってきます。そのまま成り行きにまかせて下さい。するとウトウト眠り込んでいきます。柔らかい羽根布団の上にふんわりと寝ています。とてもいい気持ちです。もっと深ーく眠りましょう。もっと深ーく もっと深ーく…………。あなたは夢を見ます。遠〜くの場所に何か見えてきますよ。見えてきたら「はい」と言って下さい。声を出してもこの眠りから覚めることはありません。…………………

A 「はい」

私 それは何のようですか?

A 何か家のようなものが見えます。

私 少しその家に近づいてください。

A 何だか心臓がドキドキしています。

私 その家をじっと見ながら、心を過去に向けていて下さい。私が今から数を10から0まで数えます。数を数えるごとにあなたは過去へ過去へと戻って行きます。そしてあなたがパニック障害をおこす原因となった出来事が見えてくるでしょう。見えてきてもあなたはほんの少し緊張するかもしれませんが大丈夫ですよ。では数を数えますよ。10…9…8…5…4…3(彼女の身体がビクッと動く)今何が見えていますか?

A 赤ん坊の妹が石の上に落ちていて、頭から血がダラダラ出て顔がまっかになっている。側でお母さんがどうしようどうしようと泣いている。近所のおばさんが「救急車をよびなさい!」と叫んでいる。

私 あなたはどうしていますか?

A  私は手に毛布を持って側に立ち尽くしている。そして、近所のおばさんが「あんたが毛布を引っ張ったから赤ん坊が縁側から石の上に落ちたのよ!妹が死んだらどうするのよ!」とひどく叱られていて、とても怖い!私はとてもひどい事をしたんだ!

私 そんなに怯えなくてもいいですよ。だって妹は助かって生きているからね。さあ、今から数を3から10まで数えると、あなたは元の年令に戻ります。3…4……………9…10はい、あなたは今28才に戻っています。今、妹さんは元気ですか?

A はい、元気に働いています。頭の怪我も髪がふさふさしていて全く見えません。

私 さあ、それでは催眠から覚めましょう。私が数を0から10まで数えて、手をパンと叩くと、この催眠から気持ち良く覚めますよ。そして、もうあなたはシーツやマットや毛布を見ても落ち着いていられるでしょう。

※ 幼い頃の出来事の中で嫌な事は潜在意識の中にしまいこまれて、普段は忘れていて思い出す事はありません。しかし、何か似たような出来事に出くわすと、それが刺激となって、過去の出来事が潜在意識の中から表に現れ、過去の感情さえも感じるようになります。しかし、心が現在の状況をしっかりと認識できていれば、冷静に判断して落ち着いていられます。このようにしてA子さんは今ではパニック障害から解放されて元気に働いています。

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